母の舌一枚が子供の一生を左右する
貧しい食料品店の息子に生まれたガンベッタが、フランスの大政治家になるまでの麗しき母子の物語。
彼は十五、六歳のとき、町の洋服屋へ働きにいかされたが半年もたたないで帰ってきた。
短気な父は叱りとばして、店の手伝いを言いつける。沈んでいる我が子を慈しむ母は、静かにやめた理由を尋ねた。
「あの仕事は、オレの気に向かんのです」
「では、どんなことがやりたいの」
「立派な政治家になって、みんなを幸せにしたいのです」
「大きな望みをもっても、途中でくじけてはなんにもなりませんよ」
「どんなに苦しくても、やりとげたいのです」
「それには、どれくらいお金がいるのかい」
「三百フランあればパリへ行って職を探し、必ず志を遂げます」
「おまえにさえ覚悟があるのならお母さん、なんとしてもその費用を用意してあげよう」
決死の母は、やがて三百フランの金をガンベッタの前に並べて、
「さぁこれで存分におまえの望みを果たしなさい」
と励ました。
驚いたガンベッタは、
「こんなに家は貧しいのに、どうしてこんな大金が……」。
「他人さまから、お借りしてきたのです」
「相当の担保がなければ、誰もこんな大金貸さないでしょう」
「もちろん、担保を入れてきましたよ」
「家にそんな担保になるようなものがあるのですか」
「ありますとも。私の舌を担保に入れたのよ。我が子が大政治家になるのに、ぜひ必要なお金なのです。必ずガンベッタに目的成就させてお返ししますからと、借用してきたのです」
〝断じてこの母をウソつきにしてはならないぞ〟
それからのガンベッタの必死の努力が、ついにフランスの大政治家にしたのである。
母の舌一枚が子供の一生を左右する。
女は弱し、されど母は強し。
男は天下を動かし、女は男を動かす。
- 女性の笑顔は、何よりも美しく見せるが、返事が良ければ、一段と輝く。『べっぴんも 笑顔忘れりゃ 五割引き』だが、返事良ければ十割増し、となろう。人間関係が、グッと良くなり、多くの人に好かれ、愛され、得をすること間違いなしだ。実行しよう。
- 意見が衝突したら、独りしか渡れない丸太橋を思い出すことだ。左右から同時に渡れば二人とも動けなくなることは明らかである。先に譲った人が相手より幸せな人だ。譲られた人は、感謝して通ればまた幸せになれる。当然の如く通る人は、最も不幸な人である。