著:高森顕徹 朗読:鈴木弘子
結婚式
あれを見よ みやまの桜 咲きにけり 真心つくせ 人しらずとも
ある夜、王様は、市街の真ん中に大きな石を置いてみた……
ドイツのある王様が、だれも見ていない夜中に、市街の真ん中へ、そっと大きな石を置いて帰城した。
翌朝、酔っぱらいの軍人が、その石につまずいて、倒れて頭を打った。
「だれだい、こんな往来に石を置いたやつは。ばかやろう、気をつけろ」
さんざん、悪口を言って立ち去る。
しばらくして、馬でかけてきた紳士が、間一髪で大石につきあたろうとして、立ち止まった。
「ああ危ない。もう少しのところで、この石にぶつかって死ぬところであった。いたずらするにもほどがある」
ブツブツ小言をいって去ってゆく。またしばらくすると、一人の農夫が、荷車を引いて通りかかった。
「なんだい、こんな大きな石を置いて。危なくて通れやしないじゃないか」
不平たらたら、石をけって通り過ぎた。
かくして、だれ一人、この石を取り除く者はいなかった。
一カ月後、王様は、市民をその広場に集めて訓示した。
「実はこの石は、私が置いたのである。しかし今日まで、だれ一人として公益のために取り除こうとする者はいなかった。これは私の治政の欠陥だろう。今日この石を、私が取り除こう」
王様みずから、石を動かした。
するとその下に『この石を片づけた者に与える』と記した袋があった。
宝石と金貨二十枚が、その中に入っていたという。
あれを見よ みやまの桜 咲きにけり
真心つくせ 人しらずとも
- 女性の笑顔は、何よりも美しく見せるが、返事が良ければ、一段と輝く。『べっぴんも 笑顔忘れりゃ 五割引き』だが、返事良ければ十割増し、となろう。人間関係が、グッと良くなり、多くの人に好かれ、愛され、得をすること間違いなしだ。実行しよう。
- 意見が衝突したら、独りしか渡れない丸太橋を思い出すことだ。左右から同時に渡れば二人とも動けなくなることは明らかである。先に譲った人が相手より幸せな人だ。譲られた人は、感謝して通ればまた幸せになれる。当然の如く通る人は、最も不幸な人である。