著:高森顕徹 朗読:鈴木弘子
就職活動
小を軽視する者は大を失う (大北鉄道会社社長 ジェームス・ヒルの言葉)
小を軽視する者は大を失う
大北鉄道会社の社長ジェームス・ヒル氏が、ある時ワシントン州の一等旅館シャトルホテルに投宿した。
“夕刻、全従業員は大広間に集合せよ”
支配人の命令である。
今をときめく大会社の成金社長のこと、どんなにチップをはずむことかと、みんな胸ふくらませていた。
やがてヒル氏は笑顔で現れ、
「私は本日、当ホテルにお世話になります。初めてお目にかかる皆様に、何か差し上げたいと思いましたが、あいにく持ち合わせがありません。
ほんの印だがこの度は、これを受け取って貰いたい。2週間後にもう一度参りますから、それまで大切に保管していてください」。
こう言って50セントの白銅貨を1個ずつ従業員の全てに渡した。
期待が大きかったので失望も大きかったのだろう。
ボーイたちは嘲るやら怒るやら、短気な者は窓から投げ捨てる始末。ほとんどの者はタバコ銭や湯銭にその日のうちに費やした。
約束どおり2週間後に来館したヒル氏は、また100人余りの従業員を大広間に集めて、こう言った。
「過日お渡しした白銅貨をお持ちの方は申し出てください。5ドル金貨と引き換えてあげましょう」
忠実にヒル氏の言葉を守っていた1人の青年が白銅貨を渡すと、表裏を確かめたヒル氏は5ドル金貨を手渡した。
顔を見合わせて2、3の青年が、自分の財布の中の白銅貨を差し出すとヒル氏は、
「私の差し上げたものには印がしてあります。これにはその印がありません。ほかに先日差し上げた白銅貨をお持ちの方はありませんか。どうぞ、ご遠慮なく」。
誰もがしかし、ヒル氏から貰った白銅貨を提出する者はいなかったという。
“小を軽視するものは、大を失う”
青年たちの未来に、ヒル氏が訴えたかったことであろう。
- 人は城 人は石垣 人は堀 情は味方 仇は大敵 (戦国武将の言葉)
- 小を軽視する者は大を失う (大北鉄道会社社長 ジェームス・ヒルの言葉)
- 女性の笑顔は、何よりも美しく見せるが、返事が良ければ、一段と輝く。『べっぴんも 笑顔忘れりゃ 五割引き』だが、返事良ければ十割増し、となろう。人間関係が、グッと良くなり、多くの人に好かれ、愛され、得をすること間違いなしだ。実行しよう。